ACHIEVEMENT実績・卒業⽣紹介

[みせる]配給・宣伝の
仕事に就く方法教えます2017

映画業界に就職・転職したい女性たちへ
配給・宣伝の仕事に就く方法教えます2017【採録】

<ゲスト>
橘川八千穂(映画宣伝会社 ガイエ パブリシティグループマネージャー/NCWOG)
加勢恵理子(映画宣伝会社 スキップ 宣伝アシスタントプロデューサー/NCWOG)
徳嶋万里子(配給会社 ツイン 配給宣伝部/NCWOG)
東香瑠(フラッグ WEBプロモーションプランナー/NCWOG)

これまでに500人以上のOBが映画業界に入り、特に配給・宣伝会社への就職においてはゆるぎない実績を築いてきたNCW。2017年12月、配給、宣伝、WEB、ソーシャルの仕事で活躍を続ける4人のNCWOGを迎え、他では聞けない有益な話をたっぷり3時間してもらった特別講座が開催!それを完全採録しました。これから映画業界に就職・転職したいと思っている方は必ず読んでください!

[聞き手:武藤起一(NCW主宰)]

ダイジェスト映像

映画に関わりたい。すがるような思いでNCWへ

――
今回は、4人ともこの業界に入ってだいたい5年以上の人たちです。まずはNCWを受講したきっかけからお聞きしたいと思います。実は、橘川さんが一番先輩なんですね。10年前。その前は、アパレル販売店で働いていたとか。
橘川:
お洋服の販売員をやってました。もともと映画業界にすごく入りたかったんですけど、新卒の時はいくつか受けたけどまったく受からなくて。だけど、働いている中で映画業界へ行きたいという気持ちを結局諦められなくて、そんな気持ちが高まっていた時期に、NCWという学校があることを知って、「じゃぁここに通いながらもう一回めざしてみよう!」ということで、2年ぐらい働いた後、NCWに入りました。。
――
その時は映画の何をやりたいっていうのはありましたか。
橘川:
その頃は、宣伝の仕事ってかっこいいなといったような、すごくキラキラしたイメージがあったので、漠然とやってみたいなとは思っていたんですけど、当初は、宣伝に限らず、とにかく映画に関われる仕事がしたいという気持ちのほうが強かったです。
――
他の選択肢はなかった?
橘川:
なかったですね。業界にとにかく入る手立てを見つけるためには、まずここに入って学んで、何かきっかけがあれば…という、すがるような気持ちで入りました。
――
その次が加勢さん。たしか2011年の4月からでした。東日本大震災の直後なんですよね。
加勢:
そうです。だから一週遅れとかで授業が始まった気がします。私は大学生の時に映画が好きで、映画館に観に行くじゃないですか。それは皆さんもそうだと思うんですが、ただ普通に映画が趣味で行ってたんですけど、大学3年ぐらいから就活を始める時に、何やろうかなーってようやく考え始めて。その時に映画の宣伝ていう仕事があるっていうのを初めて知って。
――
何で知ったんですか。
加勢:
それが、何で知ったかよく覚えてないんですけど、「あぁ、やってみたいなー」っと思って。でも、大手の会社くらいしか知らなかったので、普通に就活やっても決まらず…。でもやっぱり宣伝やってみたいなと思って。私はただただ趣味で映画を観ていただけなので、とりあえずちゃんと勉強をしてから映画の会社を受けてみないとなと思って。それでWEBで調べて映画の学校があることを知って、NCWに入ろうみたいな感じで。2011年の3月に大学を卒業して、4月からNCWに入りました。

海外の映画祭に行ってみたい

――
徳嶋さんと東さんはその次の2011年10月からの期でした。30期という期ですけど、大震災があって、「自分の人生だからやりたいことやりたい!」っていうことで10月から来たという人がいたんですけど、徳嶋さんもそうでした?
徳嶋:
私は違います(笑)。橘川さんとちょっと似てます。もともと映画の仕事がしたくて、新卒でも受けたけどダメで、ホテルのグループ会社で働いてました。私は宣伝じゃなくて映画祭に行きたかったんですよ。海外で買付けとかやってみたいと思っていたんです。
――
それは英語ができたからっていう話?
徳嶋:
そうですね。私の学生の時ってミニシアター系がすごく流行っていた時期で、ミニシアターのオーナーとかも映画祭に行って買い付けに関わっていたっていうのを雑誌か何かで読んで、かっこいいと思って。自分がいいと思ったものを買い付けてみたいと思ってたんですけど、宣伝会社とか配給会社とかには全然受からなかったんで、とりあえずホテルに入社したんです。でもやっぱり面白くないと思って、すぐ辞めました。
――
すぐ辞めたの!?(笑)。それは1年ももたずに?
徳嶋:
半年ぐらいで。辞めた瞬間ネットで検索して、「映画」「仕事」「就職」みたいな。そうしたらNCWが出てきて、夜はここに通って、昼は契約社員でなんか仕事すればいいやと思って、「卒業したらもう一回就活しよう」って思ったのがきっかけですね。
――
配給やりたいとか買付けやりたいとか、特別なきっかけがあるんですか。
徳嶋:
すごくミーハーなんですけど、オダギリジョーさんが大好きなんですよ。オダギリジョーさんがカンヌ映画祭に当時『アカルイミライ』という黒沢清監督の映画で行ったりとか、鈴木清順監督の『オペレッタ狸御殿』で行ったりしていて、「情熱大陸」(TBS)でカンヌ映画祭に行った様子を密着されていたんですよ。それを見て、「映画祭で仕事をするというのがあるんだ!」と思って。
――
別に映画祭の仕事じゃないんですが…。あれは配給会社の人がやるので。
徳嶋:
そうなんですけど…。そこから映画宣伝とか配給会社とかに憧れを持つようになったんですね。もともとバイヤーというのは知っていたから、ますます行ってみたいと。

徳嶋万里子さん
徳嶋万里子さん

WEBの宣伝、特にソーシャルの仕事に興味があった

――
同じ時期に入った東さんはどういうきっかけですか。
東:
私はもともと東放学園という映画の専門学校の出身で、そこは撮る方の、技術的な方の学校なので、監督とか脚本とか、編集まで、一通りやりました。いざ就活となった時に、職種は助監督とか照明、音響とか編集っていう感じだったんですけど、やっぱり「つくる」ほうじゃないなって気づいて。
――
職人ぽい感じじゃないと。
東:
そうですね。向いてないんじゃないかという不安がすごくあったので、そっちに進まずに、その時学校で習っていたグラフィックの、たとえばPhotoshopとかIllustratorとかpremiereとか、編集ですね。そっちにはすごい興味があったので、卒業後にWEBの制作のほうから映画をめざすかという感覚になって、WEBのデザインとか制作系のスクールに入り、そこを卒業後にWEBデザイナーとして一度就職をしたんですね。そのWEB制作会社でアパレルのサイトとか作ってたんですけど、やっぱり映画やりたいという気持ちが強くて。私もきっかけは覚えてないんですけど、映画のWEBの宣伝というものがあることを何かで知って、それでNCWを見つけて説明会に応募したっていう。たしか震災の前に説明会に参加して、加勢さんと同じ時期に通いたいと思っていたけど、震災でごたごたしていて入学を延ばしたのを覚えてます。それでもやっぱり行きたいというのがあったので、10月から入学しました。
――
その時点でWEBの宣伝をやりたいというのは決まっていた?
東:
そうですね。私は最初からWEBの宣伝がやりたいという気持ちが強かったですね。あとはソーシャル。今ソーシャルをやらせてもらってますけど、その時はソーシャルが盛り上がり出したぐらいの時だったんですよ。
――
Twitterは始まっていて、震災をきっかけにFacebookがダァ~っと増えたという…。
東:
あの頃はかなり増えていて、映画の宣伝をソーシャルでやることが始まっていた時で、もともとソーシャルがすごい好きだったので、「これはやりたい!」という思いで、受講し始めたのを覚えています。

東香瑠さん
東香瑠さん

採用された理由は、応募が一番早かったから

――
ここからはNCWで学んで、どのように業界に入ったかっていうのを聞いていきたいと思うんですけど。橘川さんはNCWを卒業した後に、仕事に就いたんでしたっけ。
橘川:
受講中からですね。1年コースを受けてたんですけど、受講して半年ぐらいの時点でトルネード・フィルムに受かって。
――
叶井俊太郎さんという、この業界の名物男。分かりやすくいうと『アメリ』を買った人なんですけど、その人が独立して作った会社がトルネード・フィルム。その時はまだあったんだよね。…っていうことは今ないということなんだけども(笑)。NCWの時に叶井さんのレクチャーを聞いてですか。
橘川:
そうなんです。叶井さんのレクチャーを聞いて、お腹を抱えて笑って。こんな面白い方の下で宣伝してみたいなと思っていたら求人があって、求人部署は配給営業だったんですが、とにかく映画業界に関わりたいという気持ちが強かったのですぐ応募しました。受かった理由が「一番応募が早かったから」だったと思います(笑)。
――
分かりやすい(笑)。配給営業っていうのは、基本的にはブッキングと言って、公開劇場を決めたり、その後も色々なやりとりを劇場とやるっていう仕事が中心となりますね。それをいきなり?
橘川:
アルバイトだったので、アシスタントをやってました。フィルムを劇場から劇場に移動させたりだとか、宣材物の発送とか。
――
それを卒業する前にすぐ来いっていう話になって。
橘川:
そうですね、働かせていただきながら NCWに通ってたんですけど、だんだん通えなくなってしまいましたね。
――
よくそういう人いますよ。途中から忙しくて通えなくなっちゃう。それでそのまま社員に?
橘川:
いえ、雇用はアルバイトのままだったと思います。でも続けている中で宣伝の仕事にやっぱり関わってみたいと思って、叶井さんに相談したら承諾していただいて。でも実際にやってみたらなんだか自分に合わないという気持ちが膨らんできて、当時付き合っていた彼氏と結婚の話も出ていたので、退職しました。結局、結婚しませんでしたが(笑)。
――
トルネードにはどれぐらいいましたか。
橘川:
1年半ぐらいですね。映画になんとしてでも関わる仕事がしたいと思っていたのに、ほんの少しだけ経験しただけですが、映画の仕事はもういいと思っていました…。
――
映画を辞めて、次は何やったんですか。
橘川:
インターネットの会社で総務に近い仕事をやっていました。そこでめくるめく会社体験をしました。社内カルチャーなどにも積極的に取り組んでいて、新しいことにチャレンジしていこうというマインドも高く、みんな若いしすごく仕事に意欲的で驚きました。そこでインターネットというのは可能性が無限にあるんだなと思って、インターネットに興味を持つきっかけになりました。
――
そこでは映画は関係なかった?
橘川:
まったく関係ないです(笑)。でもとてもよくしていただいて、いろんな方と知り合えて楽しかったですし、自分にとってはすごく良い経験になりました。

橘川八千穂さん
橘川八千穂さん

配給部の求人に応募して、4、5社目でようやく受かった

――
加勢さんは1年間はNCWにいましたよね。
加勢:
はい。大学を卒業した後、就職はせずに映画館でアルバイトをしながら、NCWに1年間通いました。バイトも続けつつ、NCWの配給部に求人があったら応募して、3社くらい受けては落ちて、みたいな。配給会社、宣伝会社に関わらず、まずは映画業界に入らなきゃダメだなと思って。
――
って受けてたんだけども、落ちてた…
加勢:
落ちて、4社か5社目ぐらいでアンプラグドという配給会社に受かって。
――
「やったー!」って感じ?
加勢:
やっと自分でちゃんとお金稼げるんだなと思って。やっぱり最初は自分の好きな作品をやってる会社を受けようとするんですよ。でも落ちてくるとだんだん、「そんなこと言ってらんねえ!」みたいな(笑)。
――
だから言ってるじゃない(笑)。選り好みしないようにって。
加勢:
そうなんですよ。まだ選ぶ立場じゃないなって。とりあえず受けてみようみたいな。
――
アンプラグドといえば色々な作品を配給してますけど、やっぱりインド映画ですよね。『ロボット』も大ヒットしたし。アンプラグドという会社は特に思い入れがあったわけではなくて?
加勢:
面接受ける前にホームページ見たら、『ロボット』っていう知ってる作品あるなぁぐらいの感じだったんですよ。最初はそれぐらいの軽い気持ちで入りました。
――
それで入って宣伝を?
加勢:
パブリシティをやりました。一応、配給会社なんで、社長が主に宣プロ(宣伝プロデューサー)みたいな感じで、インド映画や他の国の映画を買ってきて、配給の営業もやるし、宣プロもやるし、その下でパブリシティを担当するっていう感じで、そこで4年ぐらいいました。宣伝ってこういうもので、リリース作ってとか、こういう媒体にアプローチしてとか細かく教わるというより、同期の同じく新人の子と一緒に自分たちで探りながら色々やってみました。
――
やってみたらなんとか出来た?
加勢:
なんとか。出来てないのかもしれないですけど(笑)。配給会社なので、自分の会社で買ってきた作品を自分の会社の中で宣伝するっていう、全部自社の中でまかなえちゃう作品が多かったんですよ。ところが入って1年後ぐらいに宣伝委託を受けた作品があって、それで外部の会社とやりとりをするようになったら、今までの自分のやり方と違うこともあるんだなと気づいて。社内だけでは気づかなかったことが、違う方向から見れるようになって、宣伝やパブリシティというものを色々勉強しました。
――
居心地が悪いとか、やっていることがツライとかいうのはなかった?
加勢:
初めは(宣伝やパブというものが)よくわからないながらもやらなきゃいけないというのは、すごく辛かったです。宣伝を受託した場合に、配給会社の人に色々言われるし(笑)。そんなに酷くはなかったですけど。
――
それで、やっぱり自分は宣伝をやっていこうと?
加勢:
就職する前に爆音映画祭のボランティアをやっていた時に、映画祭の宣伝の方が、先輩に「宣伝は10年やらないと、やったって言えないよ」って言われたんで、「とりあえず10年やってみようって思うんだ」という話をしてて、「私も10年やってみるかー!」と思ったんです。なので、他の道は考えてないですね。

加勢恵理子さん
加勢恵理子さん

まずは邦画製作のアルバイトを経験。そこで運命の出会いを果たす

――
徳嶋さんは1年通った後に就職したんでしたっけ。
徳嶋:
そうですね。1年コースの後期(アドバンス)ぐらいに、ショウゲートの企画編成部という邦画をつくるプロデューサーがいる部署のアルバイト募集の求人をNCWからいただいて、とりあえず受けてみようと。応募して受かったので、アルバイトから入ったんです。
――
ショウゲートは配給会社ですが、つくるということもやっているんですよね。そのつくる側の何をやるということで?
徳嶋:
プロデューサーのアシスタントなので、雑用が多いんですけど。会議資料を準備したり、撮影の日のケータリングを用意したりとかを1年ぐらいやってたんですけど、もうちょっと宣伝っぽいこともしたいと思って。もともと配給宣伝がやりたいと思っていたので…。
――
製作っていうのは全然違うけど。
徳嶋:
違うんですけど、とりあえず入ってから考えようと思ったんです。それで1年間やって、そろそろ宣伝やりたい、年齢的にも30歳までのカウントダウンが…みたいな。
――
そういう年齢だった?
徳嶋:
26歳ぐらいだったんですけど、早めのカウントダウンで(笑)。その当時、高良健吾さん主演の『横道世之介』という映画があって、配給はショウゲートだったんですけど、スキップが宣伝をやっていたんですよ。その舞台挨拶のイベントがある日に、プロデューサーに届け物をしに行ったんですが、会場でなかなか会えなくて。ずっと待っていたらそこにスキップの社長の佐藤さんがいて、「君はどうしてここにいるの?」と話しかけられて、色々お話をして、最終的に名刺交換したんですよ。名刺交換しておきながら「私もうすぐ辞めるんですよ」「そうなんだ、うち募集してるんだよね」みたいな話になって、その日はそれで終わったんです。その時、武藤さんにも「もうそろそろショウゲート辞めます」って電話してたんですよね。そしたら武藤さんから「ちょうどスキップが募集してるよ」って教えてもらったんです。しかも、NCWの同期がスキップにいたんですけど、ちょうど結婚して子どもが生まれるから辞めるという時で、彼女にも「スキップ受けようと思ってる」と言ったら後押しもしてくれて。そのまますんなり決まったので、ショウゲートを辞めてスキップに入りました。
――
スキップには奥村くんというNCWOBがいるんですけど、たぶん10年以上いるんじゃないかな。今や取締役になって。それでうち(NCW)に「いい人がいないか」と求人が来て、何人か可能性のある人を推薦したんです。すごいタイミングだったね。
徳嶋:
すごいタイミングでした。一気に決まって、スキップに入って、パブリシティをやりました。
――
楽しかったですか?宣伝のほうは。
徳嶋:
楽しかったですね。やりがいもありましたし、スキップは結構ジャンルが富んでいるので、邦画も洋画もあって、いつも担当するごとに新鮮でしたし、まわりの人たちも結構アイデアマンだったので、奥村さんも。
――
奥村くんは、自分のハマる作品がB級もので、宣伝が楽しくてしょうがないという人。『キック・アス』がまだ海のものとも山のものともつかない頃に、彼は「この宣伝やりたい!」と、自分から配給会社に名乗り出て、やったら大ヒットしたっていう。そこから業界的にかなり目をつけられたというか。そこからボーン!って感じですよね。
徳嶋:
そうなんですよ。色々といい経験をさせてもらいました。

WEBパブリシティでは膨大な作業をコツコツと…

――
東さんもNCWに1年間いて。でもフラッグに就職したのは卒業する前だっけ?
東:
卒業前です。私は[アドバンス]の実習の途中でフラッグに応募して決まりました。文化通信で募集があって。社長の久保さんには講義でお会いしていたので、講義の後に一緒に飲ませてもらって。で、そこでまぁFacebookで繋がるっていう現代的な(笑)。もともとソーシャルがやりたかったっていう点で、そういう講義をしてくれたのが久保さんだったので、そこで「この会社に入りたい!」っていうのがずっとあったんですけど、偶然求人が出て応募しました。媚売っとこうと思ってFacebookで「応募したんで!」みたいなのを入れたんですけど(笑)。それがあってかは分からないですけど、入社したので途中から来れなくなっちゃったんですよね。
――
仕事が決まったらそれはしょうがない。フラッグでは最初は何をやりました?
東:
最初はWEBパブリシティをやりました。
――
WEBパブっていうと、イメージできない人もいると思うんだけど、例えばどういうことを?
東:
例えば、「映画.com」さんとか「シネマトゥデイ」さんとかっていう映画系のサイトに情報を売り込んで、無償で記事にしてもらうっていうものがフリーパブリシティの仕事です。なので主に売込みですね。ライターさんと関係をつくって、「掲載してください!この作品いいんですよ!」みたいな売り込みが主ではあるんですけど、いきなり入ったタイミングでそれはできないので、売り込んだ結果、掲載されたものがWEBで出るじゃないですか。それを一個ずつURLとって、鬼のようにリストにするっていう作業を入社当初はやっていました。
――
WEBは何が大変かというと、紙とか電波に比べて膨大な数のパブが出るんですね。それをリストにしてクライアントに渡さないといけないというね。
東:
リストを提出して、それが成果というか実績になるので。まぁ最近はそんなに細かく作らなくていいじゃんっていう感じに配給の皆さんがなっているので、だいぶ作業量は減っているんですけど。
――
キリがないからね。何万と出るだろうし。それだけで仕事終わっちゃうよみたいな。
東:
だいぶ作業量は減ったかなと思うんですけど、当時はモバイルサイトの掲載はQRコードを発行して、それをペタペタとリストに貼ったりして、もう本当に死にそうに…。
――
それでしばらくWEBパブを?
東:
2年ぐらいはパブをやってたのかな。ただ、私がもともとソーシャルをやりたいっていうのがあったので、社内でも「やりたいんです!」ってどんどん伝えていったんです。それで、最初はソーシャルとパブの両方を兼任してたんですけど、ソーシャルもしっかりやらないとねってことで、私が一人だけソーシャル担当という形でソーシャル部としてやらせてもらいました。今は結構人が増えましたけど。
――
ソーシャルってどういう作業? 今は映画のTwitterアカウントとか、Facebookとか、当たり前にありますよね。アカウントを作って、そこに書き込むのを一人でやってたとか?
東:
そうですね。あとは企画モノ。当時はそんなにやってなかったかもしれないですけど、例えばプレゼントキャンペーンをTwitter上でやってフォロワー増やしましょうとか、そういう企画モノを合わせて提案して運用したり、キャストのインタビューをTwitter上でやりましょうとかっていう感じですね。
――
なるほどね。そっちのほうがだんだんウェイトが増えてってみたいな?
東:
そうですねー。ソーシャル大事にしなきゃっていう方向に大きく動いていた時期で、その流れにも乗って、うちの会社としてもソーシャルをもっと力入れてやりましょう!ってことで、専任になっていったっていう感じですね。

3年続けてみて合わなかったら辞めようと決意。今では5年目に

――
では橘川さんに戻りますけど、前職を辞めて、また映画に戻ってきたと。
橘川:
とても良い環境で働かせていただいているなと思う中で、このままじゃいけないという気持ちもありましたし、映画の仕事に対してやり残したことがある気持ちも常に持ち合わせていたので、また映画業界に飛び込みました。そこでは、紙と電波媒体を対象とした宣伝業務を行っていたわけですが、そこで本当に酸いも甘いもみたいなのを経験して、改めて本当に辛いなと思って(笑)。尊敬する上司もいたんですけど、その上司が辞めてしまったので、そのこともきっかけのひとつとして退職しました。その後、映画業界以外で転職活動をしていて、何社か受かったんですが、いまいちしっくりこないなと…。そんな時にトルネードフィルム時代の先輩に声をかけていただいて、スターキャストジャパンという、今のガイエの前身にあたる会社に入りました。私、本当にお恥ずかしい話なんですけど、これまでひとつの会社に3年以上勤めたことがなかったんですよ。色々渡り歩いて、このままじゃダメだなと思って、絶対この会社では3年続けようと。そしたら、自分とかなりマッチしたんですよね。
――
どうマッチしていたんですか?
橘川:
テレビとか雑誌って、露出されるまでのアプローチがすごく長いんですよね。しかも露出されたとしても、反応はどうなのかとかいまいちわからない部分があって。でもインターネットは、もう少し細かい情報を出していけるし、例えば、自分が考えて提供した情報にRTやコメントがついたりとか目視できるものがあるというのも大きいかもしれないです。
――
ついに自分に合うところが見つかったと。それで、今は何年目でしたっけ?
橘川:
今は5年目に。
――
軽々と超えちゃった! ついに自分の居場所が見つかった、みたいな。
橘川:
ついに(笑)。今までになく、がむしゃらに一生懸命やったら、それなりに結果も出てきてどんどん楽しくなっていきました。10人程度だった会社が、デジタルプラスという会社と合併して、今は70人ぐらいの会社になってるんですけど。さらにクリエイティブを手がける部門や宣伝プロデュース業務も新しく始まって、パブリシティだけじゃなく広告やキャンペーンなども含め様々な要素をミックスしてクライアントに提案できたりしてるので、可能性も広がりますし、面白いなと感じてます。
――
WEBというのがそんなに違うとは。それで今やチーフに。今のチームは何人ぐらいですか?
橘川:
13人ぐらいです。今は宣伝業務以外に勤怠管理や経費精算のまとめ、採用活動や人事評価などもやっています。自分の業務だけこなせばいいわけではないので大変なことも多いです(笑)
――
でも映画の宣伝は楽しい。
橘川:
この会社に入って楽しくなりました。宣伝の楽しさっていうのを自分でちゃんと見つけられるようになって、それがすごくよかったですね。
――
その人に何が一番向いているのかっていうのは、色々経験してみないと分からない部分があるから。それで辞めちゃう人も当然いるわけだけども。辞めなくてよかったね(笑)。
橘川:
そうですね。

パブリシティから宣プロへ。10年は続けたい

――
加勢さんはアンプラグドに4年ぐらいいて、その後、スキップに入ったんですよね。
加勢:
去年の春なので、1年半ぐらいになります。なんでスキップに入ったかっていうと、パブリシティをアンプラグドでやっていて、さきほども橘川さんが仰ってましたけど、なかなか形にならないっていうのが私はあまり辛いとかはなくて、まぁしょうがないだろうみたいな。
――
達観してたんだ。
加勢:
やっぱり、自分が担当した作品を色々な人に見てもらいたいという気持ちは常にあるじゃないですか。テレビのパブが決まったりとか、雑誌でもたくさん紹介されたっていう感覚があっても、初日を迎えると「あれ? 紹介されたわりには…」という作品もたくさんあるんですよ。もっと(お客さんが)入ってほしかったな…みたいなことが結構多くって。でも、自分が観客として興味をもって、休みの日に見に行った作品が満席になったりすると、「え?こんなに人集まるの?」みたいな。この作品テレビでも見てないし、映画館でチラシもらっただけなのに、それでも自分が見に行きたいと思って見に行く作品はちゃんと満席になってると思うと、「なんだろなー」と思って。
――
パブは一体、何の役割があるんだと?
加勢:
そんな大げさなことじゃないんですけど、自分が映画の宣伝をやる上で「満席にしたい!」という気持ちが大きくあったので、パブリシティだけで満席にはできないのではと思って。もちろん満席にするにはパブリシティが必要だけど、それ以外のことも必要で、「ちゃんと刺さる層に届けることで、お客さんの足を動かしたい!」と思ったんです。それをやりたいと思った時に、パブリシティじゃなくてもっと宣伝の全体を見てみたいと。宣伝には同じことはないと思うんで、その作品に沿ったことをやりたいなと。
――
同じことはないというのは、宣伝のやり方は作品によって違うっていうことですよね。
加勢:
はい。パブリシティだけやってると、どんな作品でも割と業務的には同じ。もちろん注力するものとか優先するものは変わってきますけど、自分がやることっていうのはあまり変わらなかったので、そういうのを変えたいなと思って。作品に沿って、ひとつひとつ宣伝のやり方を変えるということをしたいと思ったので、宣伝プロデュースをしてみたいなと思うようになりました。それでスキップの奥村さんとの繋がりでスキップに入社することになりました。奥村さんとは以前1本だけインド映画で一緒に仕事をしたことがあって。
――
そうなんですか。何ていう映画で?
加勢:
『マッキー』っていうハエの映画です。奥村さんが宣伝プロデューサーで、アンプラグドのパブチームがパブリシティを担当っていう座組でやってたんです。それをきっかけに奥村さんと色々やりとりをして、自分の趣味とは違う普段あまり触れないジャンルの作品とかも任されるじゃないですか。そんなときに、「このジャンルは奥村さんに聞けば大丈夫だ!」って相談することもありました。そのつながりで、アンプラグドを辞めることになってから、宣伝プロデュースをやってみたいという相談をしてみたんです。それで、「じゃぁ一緒にやる?」という流れで入社することになりました。今は奥村さんが宣伝プロデューサーをやる作品のアシスタントプロデューサーとして入っている感じですね。
――
アンプラグドを辞めるという話になって、円満に退社しました?
加勢:
円満に退社しました(笑)。実は映画業界もどうしようかな…とも思ったんですけど。
――
映画の仕事を辞めようと思ったの?
加勢:
はい。思い切って違うことに挑戦するのもアリかなと…。でも、「宣伝は10年続けないと分からない」という話をふと思い出して、「私まだ宣伝のこと分かんないや」「分からないまま辞めるのはよくないな」と思って、続けようと。
――
それで今度は宣プロの仕事を1年半ぐらいやってるわけね。やってみてどうですか。
加勢:
今までもたまにパブリシティをやったりするんですけど、宣プロは10本もやってないぐらいですね。パブリシティも宣伝プロデュースも大変さは同じで、簡単ではないんですけど、私にとっては楽しさは違いますね。私は今のほうが楽しいですかね(笑)。
――
宣プロになると自分で考えないといけないことがたくさん出てくるでしょ。
加勢:
自分でコントロールしないといけないし、色々なアイデアも考えないといけないし…。ただ、それが正しいかどうかって一生分からないんですよ。映画が公開してお客さんが入っても、それが正しかったかどうかって、分からなくて。
――
そうなの? 公開して人が入ったら正しいって思えるんじゃないの?
加勢:
その時は正しいけど、それをもう一回やれと言われたら、それが正しいかは分からないので。その時にそれをやったからよかったっていうだけで。そういう難しさですね。
――
でも楽しさがあるっていうわけだよね。自分で色々考えて自分でできるからね。
加勢:
その宣伝の舵をとっていかないといけない立場なので、正しいかどうか分からないながらも「これでいきます!」ってちゃんと言わなきゃいけないので、その辺がすごく不安だけどやらなきゃいけないっていう。配給会社の方にも宣伝方針の説明をするので、ちゃんとその宣伝プランにした理由がないといけないし。大変さが違うっていうのは、そういうことですね。大変だけど、楽しいです。
――
だから10年は頑張ろうと。ちょうど折り返し地点だね。まだ宣プロとして独り立ちはしていないんですよね?
加勢:
そうですね。来年ぐらいですかね。

宣伝をやりきり、配給会社へ。バイヤーの仕事へ進み出す

――
徳嶋さんは逆にスキップからツインに移ったと。その辺の経緯を教えてください。やっぱり配給がやりたかったってことなのかな?
徳嶋:
いやでも、すごい宣伝楽しかったんですよ。なので、このままやっててもいいなと思ったんですけど、29歳から30歳に差しかかる年で、今年で30歳になったんですね。色々考えるじゃないですか、女性なので。結婚とかの予定もないし、仕事ばっかりだし、友達は減る一方だし…どうしよう、みたいな(笑)。仕事楽しいし、忙しいからプライベートのことも考えるの面倒臭いと思っていた時があって。それで去年、オダギリジョーさんの映画をやったんですよ。『オーバーフェンス』っていう傑作の邦画を。熱をこめてパブリシティを決めていったんですよ。それで、「やりきったー!」となって、悔いはないなと思ったんです。
――
そんなに達成感あったんだ。
徳嶋:
そうなんですよ。映画的にもすごくいい作品だったんで。それで、「そういえば私、宣伝じゃなくて映画祭に行って買い付けに携わってみたかったんだ」ってことを思い出して、ずっと宣伝やりすぎて忘れてたんですよね、楽しくて。忙しかったっていうのもあるんですけど。じゃあやりきったって思ってるんだったら、配給会社への転職を、もう一回考えてみようと思って、3月にスキップを思い切って退職して。
――
ちゃんと社長に辞めますって言ったの?
徳嶋:
言いました。それで、ちょっとだけ充電期間をおいて就活してたら、CJエンタテインメントっていう韓国の…。
――
CJエンタテインメントは韓国のメジャー配給会社で、CJエンタテインメントジャパンていう日本支社があって、うちのOBもいたんですけど。今年、そこが撤退したんですよね。
徳嶋:
そうなんです。それで、スキップの時にそこの宣プロの方と国際業務をやってた方とお仕事させていただいた事があって、「スキップ辞めるんです」ってメールをしたら、「もう次決まってるの?」「いやまだ決まってなくて」っていうやりとりをして。そこで「実は、CJエンタテインメントの作品を今後ツインが配給していく事になって、宣伝が出来る人を募集しているけど、面接してみたら?」と教えてくれて、面接を受けたら、「ツインは韓国映画もあるけど今後どんどん洋画も積極的に買い付けたいと思っている。映画祭にも毎年行っていて、宣伝部の人側の意見も知りたいから今後は宣伝部も一緒に行けたら」という話を聞いて、「映画祭行けるんだ!やったー!」って思って(笑)。「やりたいです!」って。
――
バイヤーになれるわ!みたいな。
徳嶋:
買い付けにも携われるんだと思って。で、5月ぐらいに内定をいただいて、6月から働くっていうことで。
――
なるほどね。CJが撤退してツインが受けたっていう時に。そのタイミングがすごいよね。徳嶋さんは韓国映画は詳しかった?
徳嶋:
そんなに詳しいわけじゃないです。武藤さんのほうが詳しいと思います。あと橘川さんも(笑)。でも韓国映画は好きなので。ちょうど去年、スキップの時に『アシュラ』を担当したんですけど、やっぱり韓国映画ってすごいなって思ってたんです。日本では絶対撮れないっていうのは『アシュラ』とか『ベテラン』を見て感じてたので、「あ、いいかも」っていうのはありました。遅ればせながら、「これを機に韓国映画に詳しくなろう!」みたいな。
――
ツイン配給の『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、普通に言えばゾンビ映画で片付けられちゃうけど、そのゾンビ映画の域を超えたものすごいエンタテインメントの傑作ですけど。あれが今年大ヒットして。
徳嶋:
そうですね。入社した瞬間に大ヒットしましたね(笑)
――
まさに今年ツインは当たり年っていう。それで徳嶋さんは宣伝をやっているんですか。
徳嶋:
配給・宣伝をやってます。宣プロはずっとCJでやってた男性が一人いるんですけど、もう毎月作品があって。すごい本数が増えちゃってるんで、スキップさんにお願いしたり、宣プロができる会社さんにお願いしたりしつつ、私も小規模な作品の宣プロをやってたりしてます。
――
もう宣プロやってる?
徳嶋:
シネマートで毎年夏と冬に「中華祭り」っていう二本立てのイベント上映をやるんですけど、今は作品の宣プロをやってます。
――
早速宣プロをやって、来年からは?
徳嶋:
国際担当の人が産休に入っちゃうので、その人がいない間、作品によっては私と社長が権利元とのやりとりとかを。
――
ベルリンとかカンヌにも行くんですか。
徳嶋:
行きたいですね。
――
英語はできるしね。
徳嶋:
英語はできるんですよ。でもまだビジネスでは使ったことがないので、これを機に英会話スクールに通い始めて。
――
今まで英語を生かす機会なかったけど、それが生かされるっていうことだよね。買い付けするためには、まず英語は絶対必要だからね。それもすごいタイミングですね。国際担当の人が産休になるなんて。そういうタイミングがあるんだね。
徳嶋:
ありますね。

ソーシャルはコピーライターに近い仕事

――
東さんはだんだんソーシャルに特化したっていう話でした。ソーシャルの宣伝って一番新しいものだから、何をやるのか皆ピンと来ないと思うんだけど。あなたが任されて、さらにチームとしてやるようになったっていう部分を、もう少し説明してもらえますか。
東:
ソーシャルの見せ方というか、ソーシャルやるにあたっての頭の使い方が、パブとは全然違うんですね。自分の言葉で発信していくっていうのが一番大きくて。パブリシティはライターさんに、「これはこんな映画なんです」とか、「ここが売りポイントで、ここが魅力的ですよね?」って伝えた上で、ライターさんの言葉で記事化するっていうのが普通なので。
――
まぁ、記事を書くのはライターさんとか媒体の人だからね。
東:
そこをソーシャルでは自分が書くっていうところでユーザーに直結するんですよね。それがやりたかったんです。やっぱりそこはすごく大変なところでもあり…。配給さんとか宣伝の皆さんよりもユーザーと一番近い位置に立たされるので、ユーザーと真っ向勝負というか、目の前にいるみたいな感じなので、そこは面白みとしてあるなと思っていて。それで、私が最初にパブリシティからソーシャルに移ったのは、ワーナーさんの配給会社としてのアカウントがありまして。ワーナーエンタテインメントジャパンとしてのアカウントをTwitter、Facebook、今はLINEもあるんですけど、うちがそのアカウントの立ち上げから携わっていて、そのチームに私が入れさせてもらえることになったのが一番最初でした。もともとソーシャルがやりたいと踏ん張って入ったところもあり、先輩と一緒にやってたんですけど、先輩はパブリシティも一緒にやってたので、結構そっちが厚くなっていった時に、私がどんどんソーシャルの中に入って、最初は先輩がやっていた投稿も私が引き受けてやったのが最初のところでしたね。
――
TwitterとかFacebookでは、ただ単に情報を載せるだけじゃないってことですよね。公式サイトにはイベントやりますとか、そういう情報しか載ってないけど、それだけじゃダメってことなんだよね?
東:
そうですね。最初はまず情報を出そうねっていうのは根底にあるんですけど。だんだんソーシャルも活発になってきて、どの作品も必ずアカウント作って情報を投稿していくなかで、情報出していくだけじゃ見られないよね?みたいな感じになっているので、徐々に企画モノとかをやって、ユーザーに好きになってもらうアカウントにしようね、みたいな。
――
映画を見る前にその映画にものすごく興味を持ってもらうということですかね?
東:
ものすごく興味というか、触れる機会を増やしていくっていう意味です。特にTwitterだと拡散されていくものなので。
――
すごいフックのある言葉とか、インパクトのある言葉とかだと、#(ハッシュタグ)がダァ〜っと広がっていくみたいな?
東:
そうですね。要はコピーライターにすごく近い仕事というか。パブリシティで出すリリースがあるなかで、それをTwitterだと140文字でどう簡潔によい文言で伝えるか?っていうのを、そのリリースをもとに、自分で言葉を作ってどんどん数を出していくっていう感じなので、もうコピーライターですね完全に。あと、アカウントの立ち位置もそれぞれ違っていて。さっき、ワーナーさん本体の配給としてのアカウントから入ったっていうお話をしたんですけど、作品ごとのアカウントはその作品にまつわる情報だけを出すけど、ワーナーさんのアカウントだと作品じゃなく、「ワーナーという配給会社を愛して!」みたいなポジションだったりするので、また違った投稿のトーンになるんですよね。ワーナーさんの作品で今ソーシャルやっている『ハガレン』(『鋼の錬金術師』)も、『ハガレン』のアカウントとしてはやっぱりたくさん情報を出していくっていう一方で、ワーナーのアカウントとしてはどういうことやるかっていうのを考えたりとか、それぞれのアカウントでのアプローチの仕方を色々考えながら企画をやってます。
――
その全部をチームで書き込んでる?
東:
私の会社のソーシャルチームで、それぞれで作品のアカウントを分担してやってます。
――
それをあなたがコントロールしているわけですか?
東:
そうですね。案件を割り振ってとか。
――
それは新しい仕事ですね。今まではソーシャルはお金になるっていう感覚じゃなかったでしょ。それを仕事にしているっていうのがね。
東:
私も正直、自分の好きなことや自分が書きたかったことをどんどん「OK!OK!」って配給さんにも言っていただいて、それがどんどん盛り上がって評価されていくにつれて、「好きでやってることがお金になるんや!」みたいなのは、すごく思いましたね。趣味じゃんこれ、みたいな感じで(笑)。
――
今はそういう時代になっているってことですね。
東:
皆さんが意味があると思ってくれて、「やっぱりソーシャルって力があるよね」っていう感じになってきている。今もどんどんそうなっている段階ですね。

自分が担当した作品を通して人に喜んでもらえたことが嬉しい

――
さて後半は、もう少し仕事に踏み込んだ話を聞いていきたいと思いますけれども、まずは橘川さん。映画の仕事を7〜8年ぐらいやってきて、今は楽しいって話を聞いたんですけど、自分にとって非常に重要な作品とか、忘れられない作品はありますか?
橘川:
そうですね。私は元々、是枝裕和監督の作品が好きだったんですが、スターキャストジャパンに入ってすぐに『そして父になる』 を担当させていただいて。そこから今年の『三度目の殺人』までずっと是枝監督作品は関わらせていただいてますが、自分が好きな作品に関われるというのが、すごく嬉しかった。あと、『怪盗グルーのミニオン危機一髪』から、『ミニオンズ』も含め『怪盗グルー』シリーズをずっと担当していますが、最初はほんとに辛くって…。
――
また(笑)
橘川:
なぜかっていうと、ミニオンって今ではすごく人気ですけど、当初はそこまで認知されておらず、人気もあまりなかったんです。売り込みをしても媒体さんには「いや、うちが取り上げるような作品じゃないし」とか「ミニオンって何?」みたいな感じであしらわれて、「何くそ!」と泣きながらやってたんですけど。それが、『怪盗グルーのミニオン危機一髪』がヒットしたことをきっかけに、ミニオンというキャラクターも人気が出てきて、そこからは反応がコロっと変わって(笑)。ミニオンも最初は全然可愛いと思えませんでしたが、今は自分の中で本当に愛すべきキャラクターに変わりました(笑)。そのあと、『怪盗グルー』と同じイルミネーションというスタジオが手がける『SING/シング』という作品を担当したことも思い出深いです。最初見た時、作品は素晴らしいし大好きでしたが、ミニオンはいないし、誰も知らない動物のキャラクターで、「どうすればこの作品の良さが伝わるんだろう?」と不安でした。でも、吹き替え版のキャストとスタッフがとてつもなく素晴らしかったこともあり、すごいヒットしたのですごく嬉しかったですね。この作品のプレミアイベントで上映が終わったあとにサプライズで、山寺宏一さんとトレンディエンジェル斎藤さん、スキマスイッチ大橋さんが生歌を披露する企画をやったときに、会場中がめちゃくちゃ盛り上がって、そのあとSNSも相当湧いて、「超楽しかった!」といったような投稿をたくさん見かけたんですが、自分が担当する作品で、映画を通して素晴らしい経験ができたという人がいたことが嬉しくて。私が担当したパブリシティの要素がどれだけヒットに結びつけたかはわかりませんが、自分たちが積み重ねてきたことが少しだけ身を結ぶことができたかもしれないと思ったらすごく嬉しかったです。

宣伝における自分の立ち位置を最初に見極めることが大切だと学んだ

――
加勢さんはそういう思い出に残る作品はありますか。
加勢:
スキップに入って、まぁ一発目というか、宣伝の立ち上げから携わることになった作品が『愚行録』っていう今年の2月に公開した映画なんですけど。監督は石川慶さんていう新人監督で、妻夫木聡さんが主演で満島ひかりさんが共演で、映画を見てみたら結構重い内容で、でも映画としてはすごく面白くて。見た人が嫌な気持ちになるような話なので、最初の試写で「どうやって売ってく?」っていう簡単な話し合いになった時に。そういう話し合いって、配給会社さんだったり、製作の方々だったり、皆さん男性で、だいたい年齢層も同じくらいで。そんななか、入社して間もない小娘がいてという状況で(笑)。極端かもしれないですけど、男性から見る視点と女性から見る視点って違いがあって、映画のヒットには女性の拡散力ってすごく大切だと思うんですよ。『愚行録』は、振り方次第では振り切れる作品なんだけど、「振り切っちゃうと女性に嫌われるんじゃないか?」っていうなかで、ここまでならセーフとか、逆に女性のマウンティングとか今ならではの女性なりの下世話な話も入っていたので、「これは押したほうがいいいと思います」っていう女性としての意見を言えて、その場にいた皆さんが「ふむふむ、そういう見方もあるね」ってなった時は、自分のいる意味があってよかったなと思って。私の立場だからこそ言える意見があると思うので、「こういう感じで頑張っていこう!」って思えた最初の打ち合わせでした。それで、そのあとポスターのビジュアルを考えたり、予告編にどのシーンを使うとか、キャッチコピーをどうするか考えたりする時に、その視点は大切にしながらちゃんと話し合いができたかなと思います。そういう意味では、すごく大切な作品ですね。自分が担当する作品に対してどういう立ち位置で接したらいいかっていう、そういうのってすごく大切だと思った作品ですね。
――
まさに宣プロの入り口というか、必須ですよね。パブリシティだと宣伝プランがすでに決まっているところから始めるけど、宣プロはそのアタマからだからね。
加勢:
パブは(宣伝プランが)もう決まってることが多かったんですけど、どういう売り方をするかっていうところから入れたのがすごく大きな一歩だなと思って。あと、宣プロの奥村はかなり飛ばしていく方で、作品の色を尖らせることがかなり得意なので、そこを逆にブレーキをかけるという立場でもあって。
――
そうなんだ?
加勢:
例えば、『スイス・アーミー・マン』っていう今年の9月に公開した作品で、ダニエル・ラドクリフが死体の役なんですけど、死体が大好物な客層は必ずあって、そういう人に刺さる売り方っていくらでもできると思うんですよ。でも、私が映画を見た時に、そんなに嫌じゃなくて、綺麗じゃん、爽やかじゃんって思ったので、この要素は絶対大切にしなきゃいけないと思ったんです。死体が趣味の人だけに見せたらもったいないと。どこまでがセーフかということとかを奥村と話し合って、ちゃんとブレーキをかけることもしました。そういう時は二人でやる意味みたいなのが結構あって、やってて面白いですね。あと、今、二人で『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』(2018年3月3日公開)という、『愚行録』や『スイス・アーミー・マン』とは全然違うジャンルの作品もやってるんですけど。
――
これも奥村くんがやってるんですか?
加勢:
ほんとにびっくりされる方がいっぱいいて(笑)。いわゆる少女漫画原作のキラキラムービーみたいな感じの恋愛映画なんですけど。こういう映画は私もあまり見たことないですし、奥村も得意というわけではないんで、二人にとっても「チャレンジだね」ってなって。ターゲットはもちろん女子中高生になるので、まず女子中高生が何に触れているのかっていうのを知らなきゃダメだなということで、二人で原宿に行って、突撃インタビューしたり…。
――
突撃インタビュー?
加勢:
やっぱりターゲットのことが分からないと、宣伝プランも分からないんですよ。もちろん『プリンシパル』の宣伝をしているということは言えないので、「恋愛映画を宣伝するんですけど、今まで見た作品どういうのあります?」とか、「その作品は何で知ったんですか?」とか、「今好きな俳優さん誰かいます?」とか、そういう質問を原宿でつかまえては聞いて。
――
何人ぐらいに?
加勢:
その時は20人ぐらいですかね。グループだったりもしたので。
――
それでだいぶ分かった?
加勢:
勉強になりました。例えば竹内涼真さんの人気ぶりとか。実際に生の声を聞くと、すごく分かりますね。みんな思ってるほどテレビ見てないんだなとか。そういう情報を集めて宣伝プランを考える。
――
それは大事ですよね。ちなみに『愚行録』はヒットしたんですか。
加勢:
ヒットしました、それなりに。『スイス・アーミー・マン』もそれなりに。
――
じゃぁ、この作品(『プリンシパル』)を成功させられるかどうかだね。最近この手の作品がみんなコケてるっていう話があるから。
加勢:
例えば『ヒロイン失格』とか、『黒崎くんの言いなりになんてならない』とか、あの辺りはかなりヒットしているって言われているんですけど、じゃぁ同じことをすればいいかっていうとそうじゃなくて。キャストも違うし、公開しているタイミングも違うし、原作もそれこそ違うわけなんで、この作品に合った、今に合った宣伝をしていかないと、無視されちゃうなっていうのは常に思ってます。

映画は売り方が大事だと韓流ファンから教わった

――
なるほど。徳嶋さんは?
徳嶋:
そうですね。ツインに入ってまだ半年ぐらいしか経ってないんですけど、『MASTER/マスター』っていう韓国映画があって、今年の11月10日に公開して、イ・ビョンホンさんが来日したんですよ。それで、TOHOシネマズ新宿をジャックして、全10スクリーンで10回連続舞台挨拶っていうのをやりまして、それはすごく思い出深いです。今まで10回舞台挨拶っていうのは、TOHOシネマズ六本木で小栗旬さんがやったことあるらしいんですけど、外国の俳優さんでやるのはイ・ビョンホンさんが初で。だから、今回出演しているイ・ビョンホンさん、カン・ドンウォンさん、キム・ウビンさんは韓国映画をずっと見てる人とか、韓流好きのご婦人にとってはかなりの注目作というか、“THE 韓流”みたいな作品で、エンタメ感もある映画だったんで、「韓流ファンをメインに宣伝していこう!」ってことで、10回舞台挨拶やろうとなったんですけど、やっぱりすごい大変で(笑)。1回遅れると次の会場も遅れるし、あと、韓流のご婦人て熱気がすごいじゃないですか。時間差で1回目を見たら3回目も見たい!みたいな。イ・ビョンホンさんが移動するタイミングに合わせて自分も一緒に移動しちゃったり、観客席から乗り出したりもしちゃうんで、危ないから前説で注意事項を言う人がいないとダメだっていう話になって、それを私がやることになったんです。常に次の会場に行って、私が舞台に立って会場を温めておく。且つ、「手を伸ばしたりするとかなり危険なので、イ・ビョンホンさんの舞台挨拶が中断しないように皆さん協力してください!」みたいな。移動する時にガードするのも大変だったし、スタッフ全員の連携プレイが必要で。チケットはソールドアウトで、思い切り韓流に寄せてこんなに盛り上がったのって、ツインの中でも久しぶりらしくて。
――
一方で、『新感染』は韓流じゃないからね。韓国映画であることを隠して無国籍のような映画として売った。韓国映画ってひと言も言ってないからね。やっぱり切り替え方っていうか、売り方が大事なんだよね。
徳嶋:
『新感染 ファイナル・エクスプレス』では意図的に隠したんですけど、『MASTER/マスター』は逆に韓流ドエンタメって感じで売って。宣伝としてはそこがすごく大事なんですけど。久しぶりに韓国映画が盛り上がって、イ・ビョンホンさんも10回やれるポテンシャルあるんだなと。韓流ファンのご婦人たちも健在だなって思えました。
――
確実にいるんだけど、マジョリティにはならない。
徳嶋:
ならないけど、イ・ビョンホンさんだからできたっていうのもあると思いました。全部の回で話を変えて、やっぱりプロは格が違う。ハリウッドスターはすごいなって思いましたね。
――
やるほうは大変だったけど。でもやって充実感あったわけだから。
徳嶋:
入社して間もないうちに、ダイレクトに韓流ファンの方たちに触れられて、どういうものか知ることができたので、いい経験になりました。

ソーシャルという枠にとらわれない仕事ができることが楽しい

――
東さんはどうですか。SNSですごく上手くいったっていうのは?
東:
私はあまりひとつの作品につきっきりでっていうのはなく、作品全体のプランニングを見ている感じではあるんですけど。最近の事例としては、ワーナーさんのアカウントをやっている流れで『ジャスティス・リーグ』(2017年11月23日公開)の企画を出してほしいというお話があったので、作品の公式アカウントはうちではやってなかったんですけど、映像の企画をいくつか出して、大きな企画を2つやらせてもらいました。出しどころとしては、Twitterのプロモトレンドという広告の枠がありまして、トレンド欄の一番上に出るプロモーションて書かれた枠ですね。1日買い切りで800万円以上する高い枠なんですけど、その枠を広告として購入して、それに合わせた企画をやりたいということで提案をして。それを2日間やったんです。一つ目の企画は『ジャスティス・リーグ』のテーマが「オンリーワンが集まれば、世界も救える」っていうコピーを出していて、いろんな人が集まって地球を救おうよ、みたいなチームワーク的なテーマで、しかもバットマンがヒーローを集めてるっていうところが結構面白かったので、そこに合わせた企画として、「求人動画風って面白くないですか?」という提案をして。バットマンが社長みたいな感じでいて、「急募、簡単なお仕事です。」って言って、「みんな地球救ってよ」となるような文脈の映像をやりませんか?ってご提案したら、すごく気に入ってもらえて。うちの会社(フラッグ)には映像の制作部があるので映像も制作してもらって、連携してやった事例でして。それを公開初日のプロモトレンドの枠でその映像を使って見せこみをしました。その求人のテーマをワーナーさんに気に入ってもらえて、実際にテレビスポットの一案としても採用されて…。よかったという感じです。
――
実際どういう動画を流したの?
東:
WEBで「ジャスティスリーグ」「求人動画」で検索してもらえれば、たぶん出てくると思うんですけど。内容は、バットマンの映像に「ここは日本だな。俺と一緒に救ってくれる人はいるかな?」といったテロップをつけて、しかも本物のバットマンの声の人がナレーションをあててくれて。そこから各キャラクターのいいシーンを抜いて、「こんな人でも大丈夫!」みたいな、「パワフルな人募集」でワンダーウーマンが出てきたりとか、「交通手段は問いません」と言ってバットモービルが出てきたりとか、空飛んでたりとか、「新人も大歓迎」でフラッシュが出てきたりとか、それぞれのキャラクターに合わせてよくある求人あるあるみたいな言葉を集めて、それを繋いで宣伝につなげる映像ですね。あとはもうひとつ、公開の直前にフラッシュ役のエズラ・ミラーとサイボーグ役のレイ・フィッシャーが来日すると決まっていて、宣伝のプランニングとしては、バットマンはDC特有のダークな感じがが出すぎちゃうから、フラッシュ押しでいきたいっていうのをワーナーさんのほうで決めていて。
――
バットマンは暗いからね(笑)。
東:
そうなんですよ。バットマンも好きなんですけどね。それでエズラ・ミラー来日となったので、本人も結構破天荒というか、気さくで面白いキャラなんですね。その来日の様子を追いかけて映像を作って、21日のプロモトレンド枠も買ったので、そこで流しましょうってことになって。それで、来日が18・19・20日とかで、入稿ギリギリまで編集をして、あと30分で始まっちゃうっていう時にやっと入稿してスタートみたいな、すごいスケジュールでやったんです。最初空港に到着した様子とか、その日に「酉の市」っていうお祭りにエズラ・ミラーが行った様子の素材をもらって繋いで、それでプレミアの様子も追いかけて、レッドカーペットでサインしている様子を私たちのほうで撮ったりだとか、舞台挨拶の様子も撮って、それを一本にまとめて映像素材として使ったという。それはうちの会社ならではというか、うちに映像の制作チームがいて、撮影もできて編集もできるスタッフがいるので、うちだからこそできる提案ていう感じでやらせてもらいました。それまでも映像の企画は色々やってたんですけど、なかなかそういう大きな枠で使うことはなかったので、すごい達成感があった企画だったなぁっていう感じです。配給さんと制作含めて私が間を繋いで進行を回していくみたいなことをやったりしたので。ソーシャルの広告なので一応ソーシャルの仕事なんですけど、そういう枠を超えた形で最近は企画させてもらったりすることが多いです。すごくそれは楽しいですね。
――
映画そのものじゃなくて、世の中の流れとかそういったものを上手くとりこんで、面白おかしくインパクトつけてみせるっていう。
東:
そうですね。ソーシャルって「こういう映画です!」って普通に伝えても誰も振り向いてくれないんですよ。なので、そういう求人みたいな切り口とか、切り口を色々変えて、映像も普通の予告じゃなくWEB特別映像みたいな形で作り込んで、見せ込みしていくものが最近は増えてますね。

大事なのは、続けること。そして得意分野を見つけて発信すること

――
そうですか。色々な話を聞いてきて、4人とも主に宣伝が中心のキャリアの方たちなんですが、それぞれ経験値が違うし宣伝に対する思いも違うと思うんですけど、最後に、これまで宣伝をやってきたなかで、宣伝には何が大事か、あるいは何が必要なのかという、自分なりに思っていることがあれば、教えていただけますか。
橘川:
どんな仕事にも当てはまることだと思うんですけど、通るかどうか別としても、自分はこういうふうにやりたいんだっていう、そういう意見を持つことがすごく大事だなと思います。あとは、続けていくと何かしらできるものなので…。さっき10年って仰ってましたけど、やっぱり宣伝って1〜2年じゃ、面白さというのはわからないんじゃないかと思います。3年でなんとなくわかってきて、クライアントの方やライターさん、媒体の方たちとの関係性がどんどん構築されていって、そこからまたどんどん面白くなってくる要素が増えてくると思うんです。
――
これまで色々聞いてきても、「なぜその会社に行ったか?」って、やっぱり人とのつながりが非常に大きい。それは、業界に入ってやっていくと、初めて分かるわけだよね。
橘川:
そうなんですよ。やっぱりこの業界、広いようでけっこう狭かったりするので。1〜2年で諦めると、そういうつながりっていうのが分からないところがあるのかなと。私も3年以上続けてきて、そういうのがだんだん分かってきて、そこから生まれるアイデアとかもあったりするので、続けることがすごく大事だなと。あとは、自分の得意分野を見つけること。技術的なことはだんだん身についてくるので。私は自分の個性というのは売れると思っているんですよ。私自身はそこまで突出した何かがあるってわけじゃないんですけど、自分の良さはとにかく「元気に明るく」っていうところが売りですね。「文章が上手いのでリリースが書けます」「企画力が抜群にあります」とかなんでもいいと思います。

譲れない軸を持ちながら、相手の求めることには最大限応えること

――
加瀬さんはどうですか?
加勢:
私も折り返したばかりなので、まだ途中なんですけど。どの作品をやるにしても、軸っていうのがあって。その軸は大切なんですけど、ただ「自分がこうやりたい!」ってだけではできないんですよ。自分がやりたいことが正しいとは限らないので。観客だったり媒体だったり配給会社の人だったり相手がいるものなので、相手が何を求めているかというなかで、それでも自分が譲れない部分というのは軸としてしっかり持つ。ただ、相手が求めることは最大限やらないといけないし、その積み重ねなのかなと思います。宣伝とは。
――
なるほど。なんかもうすっかり立派な宣伝マンになったような。本当に説得力があったね。
加勢:
なので、自分が「あれやりたい!」「これやりたい!」みたいなことばっかり言っていてもダメだと、本当にそう思います。パブリシティやってる時も、「私こういう記事出したいからこうやりたいと思っても、媒体はそれを求めてなければそれは決まらなくて。悔しいながらもやっぱり譲る部分ていうのが必要なんだなっていうのを知りました。
――
譲る部分は必要だけど、譲れない部分も必要だと。両方できないといけない。引いたり押したり、みたいなね。
加勢:
すごく大切だなと思います。でも譲れない部分ていうのが絶対あとから効いてくるんで、そこはしっかりと持っていかないといけない。それで、NCWに通ってる時に、「やりたい作品できることなんて一本あるかないかだよ」みたいなことを、スペシャルスタッフの照本さんもそうですけど、OBの皆さんも仰ってて、それはすごいよく覚えてて。本当にその通りなんですよ。自分が本当に面白いと思える作品と出会って、それを担当するってことはなかなかないことなんですよ。でも、今までやってきて、やっていくうちにその作品のことをすごい好きになるんです。自分の趣味とは違う作品いっぱいありますよ。知らない人しか出てないとか、何が面白いか分からないとか(笑)。
――
ということが分かって、実際にそうできたっていうことがプロになったってことだね。
加勢:
そうですね。振り返ると、面白い作品いっぱいやってますもん。…っていうのが大切かなと思います。だからその辺は安心してください(笑)。皆さんもそうなれるといいですね。
――
徳嶋さんは?
徳嶋:
私は情報収集。今メディアが何を求めているのかとか。さっきの加瀬さんの話じゃないですけど、媒体が求めてることじゃないから私のやりたいものは入れられないという時に、それが入れられるようにするためには、まずは媒体を知ることから始まると思うので。雑誌を読んだり、バラエティ番組を見たり、情報番組見たり、SNSで今誰が有名なのかとか、Instagramでこの人イケてるとかっていうのを常に見ておく、っていう力は大事なんじゃないかなと思いますね。宣伝する人に一番大事なことって。
――
なんでも興味をもって好奇心をもって情報を集めるっていうことだよね。
徳嶋:
エンタメに詳しくなることが大事だと思いますね。

嫌いな作品も愛せる気持ちが持てること

――
東さんは?
東:
私も、客観視できることと愛着を持てることのバランスがすごい大事だなって感じていて。さっきのお話と似てるんですけど、世の中が何を求めているか、見せる相手の立場になって考えるのが一番正しいはずなんですよね。なので、この作品がどういうふうに響くのかとか、どういうターゲットが好きになってくれるのかっていうのを俯瞰でまず考えるということ。ただそれを客観視しているだけだと映画の宣伝って成り立たないっていうのがある。やっぱり愛着が大事っていうのはソーシャルやってて思うんですけど、あんまり興味ない作品の宣伝してると、すぐバレちゃうんですよ。ソーシャルは特にユーザーにすごく近いので、絶対にバレるんですよね。
――
言葉に熱がこもってないな、とか?
東:
やっぱり普通の更新になったらすぐに分かっちゃうんですよね。とはいえ、ファンだけに向いている宣伝も有り得ないので、ファンしかこなくなっちゃうから、そっちに媚びすぎるとよくないし。ファンも大事にしながら、それ以外の人たちも取り込んでいくためには、客観的に今この作品はこういう状況だっていうのを見極めながら宣伝していくっていうのが結構大事だなと最近思います。
――
その通りだし、それができるようになっているのはプロってことだね。
東:
難しいですね。さっきの話じゃないですけど、好きな作品、嫌いな作品って絶対に出てくるんで、最初はこれほんと酷い作品だと思いながらも、やっぱりどこか愛せるようになってくるんですよね。宣伝しているうちにとか、その作品について考えているうちに、ここはダメだけど、ここはいいかもしれないみたいな気持ちになったりするので。そういう気持ちを持てるかは、配給さんにも絶対求められるところです。私もそうなりたいですね。

2017年12月3日(日) ニューシネマワークショップにて
2017年12月3日(日) ニューシネマワークショップにて

一覧に戻る