「就職がゴール」ではないからこそ、NCWを選んだ
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- 今日はNCWの卒業生で、近年映画監督としてデビューし、今後も長く活躍が期待できる3人のOB・OGに来てもらいました。まず、NCWに通ったきっかけを伺いたいと思います。最初は飯塚監督。受講は2008年でしたね。
- 飯塚:
- 当時は26~27歳でした。IT業界に就職して数年経ち仕事に慣れてきて、同時にマンネリな気持ちも生まれてきた頃でした。もし他に何かやりたいことをするなら、20代半ばぐらいがやり直すチャンスではないかと考え、高校生の頃から好きだった映画業界を考えるようになりました。
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- その時から映画監督になろうと思っていた?
- 飯塚:
- いや、高校生の時も単に映画が好きで見ていただけなので、映研に入って映画をつくったりしていたわけではありません。なので漠然と映画学校を探し始めたんですけど、ちょうどその頃、熊谷まどか監督が『はっこう」でPFFアワードのグランプリを獲ったニュースを見たんです。PFFと言えば、高校生の頃に見た熊切和嘉監督の『鬼畜大宴会』(1997年制作。PFFで準グランプリを獲得)など、自分が好きな映画でこの賞のすごさを知っていたので。
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- 熊谷監督はNCWのOGです。
- 飯塚:
- はい。それを知って「PFFでグランプリを獲れる監督を出す映画学校ならすごいに違いない」と思ってNCWを選びました。ただ、まだ当時は何となく好きな映画をつくれればくらいの気持ちで、仕事を続けながらNCWに通い始めたので、監督になることはあまり意識していなかったです。
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- 次に中川監督。2012年に通い始めましたね。
- 中川:
- はい。私は大学卒業後にイベント制作会社に入ったんですけど、映像を扱うことが多いので必然的に興味を持ち、映像制作を学べる学校を探しました。その会社は1年で辞めて独立し、フリーランスでイベントのディレクターになったので、時間に融通が利くようになったことも大きかったですね。
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- つまり、映画制作ではなく映像制作を学びたかったと。
- 中川:
- そうです。それでいろいろ学校を探したんですけど、どこも学費がめちゃくちゃ高いのと、あとどこもゴールが就職になってるのが気になって。自分はもう仕事はありますから。その中で見つけたNCWは、学費がすごく安いし、何よりゴールが就職じゃなくて映画監督のスキルを磨くとか、そういうスタンスが自分に合っていたので決めました。
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- なるほど。まぁ確かに学費は安いけどね(笑)。
- 中川:
- なので、映画というよりは映像というところでNCWを選んだんですが、いざ入ってみると映画の世界がめちゃくちゃ面白いことに気づいて、今はもうどっぷりですけど。
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- 最後に藤村監督。さらに1年後の2013年にNCWへ。
- 藤村:
- 私は大学生の時にNCWに通いました。もともと高校生の時から映画制作に興味があって、大学も映画学科を選ぶほどだったんですけど、そこは美大みたいに卒業制作があるわけでもなく、ひたすら理論重視なんですね。ヒッチコック監督の映画の分析とか。
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- じゃあ大学の環境が、あまり映画制作向きじゃなかったと。
- 藤村:
- はい。「せっかく映画学科に来たのに、このまま映画をつくらずに大学生活を終えるのかな…」と思ってた頃、たまたまユーロスペースでNCWのチラシを見つけたんです。そこに、私が大好きな熊澤尚人監督が講師のお名前として挙がっていたのを見つけて。
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- つまり熊澤尚人監督の存在がNCWを選んだ決め手だったと。
- 藤村:
- そうです、私にとっては。熊澤監督の『虹の女神 Rainbow Song』が大好きで。熊澤監督が教えていなかったら、たぶんNCWには通っていなかったと思います(笑)。
