2026年3月24日、ニューシネマワークショップ(NCW)にて特別講座が開催されました。
ゲストは、フランスを拠点に世界を舞台に活躍する国際セールス・共同製作会社「Charades(シャラード)」の共同設立者、ヨアン・コント氏。
三宅唱監督『ケイコ 目を澄ませて』や細田守監督作品など、数々の日本映画を世界へと送り出してきた“仕掛け人”の登壇とあり、告知直後から非常に注目度が高く、当日も多くの方が参加されました。
進行は国際共同製作や映画買付に携わるプロデューサーであり、NCWの[みせる]コースにて洋画買付の講師も務める㈱フラッグの小田寛子さんが担当。
実際の事例を交えながら、映画を世界へ届けるための戦略を紐解く貴重なセッションとなりました。
また、通訳を務めてくださったのは、数々の国際映画祭で名監督たちを支えてきた高橋晶子さん。
映画への深い造詣に基づいた精緻な通訳により、ヨアン氏の言葉の細かなニュアンスまでがダイレクトに共有される、非常に贅沢な時間となりました!

▪️国際セールスエージェントの役割
講義の前半では、ヨアン氏のキャリアや「Charades」設立までの歩みとともに、映画と世界の観客をつなぐ「国際セールス」の具体的な仕事内容が紐解かれました。
驚くべきは、単に完成した作品を売るだけでなく、「脚本の段階で買い取ることもある」という事実です。作品のポテンシャルをいかに早い段階で見極めるか、そのシビアなプロの視点が示されました。また、数ある映画祭の中でも「カンヌは他の映画祭より抜きん出て特別である」とのこと。どの映画祭で作品を発表するかが、その後の世界展開を左右する極めて重要な戦略であることを強調されました。
▪️1日15件の商談。華やかな舞台裏の「タフな日常」
続いて、世界最高峰の舞台である「カンヌ国際映画祭」でのリアルな動きについても言及。
現地では分刻みで1日に15件もの打ち合わせをこなすという、過酷なスケジュールが明かされました。マーケットでの値段の付け方や、バイヤーとの駆け引きなど、現地を知り尽くしたヨアン氏ならではのエピソードに、参加者は圧倒されながらも聞き入っていました。華やかなイメージの裏側にある、プロフェッショナルたちのタフな日常を身近に感じる貴重な一幕となりました。
▪️良い映画には「良いプロデューサー」が必要不可欠
「世界は今、どんな日本映画を求めているのか?」 その問いに対し、ヨアン氏が示したのは、日本独自の文化や感性が持つ普遍的な魅力、そしてそれを世界に届けるための「戦略」の重要性でした。
また、「良い映画を作るには良いプロデューサーが必要である」という言葉も印象的でした。買い付けの際、監督の作家性はもちろん、プロデューサーが誰であるかも重要な判断基準になるそうです。日仏共同製作も増えている今、世界へ届けるための戦略は「チームづくり」から始まっているといえます。
映画制作の視座を「世界」へと広げる、密度の濃いレクチャーとなりました。
ご登壇いただいたヨアンさん、小田さん、高橋さん。素晴らしい時間を、本当にありがとうございました!



